「ウルフル・ムーン」友藤結

思うに、少女まんがって和洋折衷が得意ですよね。
想像力の乏しい上羽なんかは、もしフェンリルをメインキャラとして考えるなら、お相手の巫女といったら古ゲルマンな女性かなぁとか、日本の巫女をヒロインとして考えるなら、お相手の獣人くんは大口真神かなぁとかとか、ある種ステロタイプに毒された時代考証的なモノから入ってしまうわけですが。和装の巫女にゲルマンなフェンリルを配するこの切れ味。いきなり何の説明もなく日本にマンティコアを登場させる「じうじう」のノリに近しいものを覚えます。田村由美(「ビショップの輪」)なんかも和洋折衷ファンタジーが得意ですよね。「火宵の月」とかも和洋折衷感満載でした。


というわけで、今日の書庫更新ネタ、ウルフル・ムーンです。
フェンリルがもう少し獣人テイスト強ければイチ押しなんですが、残念ながら、基本、デフォルメ子犬⇔イケメンなんでイマイチ萌えません。ちょっと腕やらしっぽやら耳やらが獣化してるシーンとかあって、そこは非常にいいんですが。
まあ、中途半端に獣人だからって何でもかんでも獣耳キャラに仕立てちゃう最近の風潮からすると実に潔い。天晴であります。
収録の短編も、これで主人公の少年が獣人だったとしたら、上羽の内角高めをきわどくえぐって1球のみでストライクアウトな感じ(相変わらず意味不明)の出来ですので、作者には今後、より獣人道(けものみち)を極めていただきたい。


「ウルフル・ムーン」友藤結、花とゆめコミックス白泉社
 ISBN:9784592194200 定価:本体400円+税 備考:2012年11月25日 第1刷発行