獣耳言説批判

最近見たネット上のニュースと称する宣伝記事で、ちょっと(というかかなり)なんだかなーと思ったものがあったので。


冒頭、最近大ヒットした(?)アニメ映画について触れ、それが「獣耳」人気にもよると解説。
そして、「獣耳」の例を挙げつつ「獣耳」キャラの勢いはとどまることを知らないとして、現実にも猫耳ヘアーなどが人気だという。
一転、その歴史は古いとして、手塚治虫が日本の獣耳第1号だとか、『綿の国星』だとか挙げつつ、1990年代後半には猫耳だけでなく犬耳やうさ耳が登場、2000年代の萌えブームと相まって、様々な動物の耳を持つキャラが登場し、萌え要素として完全に定着したというのである。
で、最終的にはなんか獣耳的なるライトノベルだかを宣伝する記事なんですが。


まぁ色々ツッコミたいところはあるんですけど、一つだけ、言わせてもらいます。
「願いごとは三回」(1993年作品)の木場りくちゃん(狼耳)はどこへいった!?
……ハァハァ。
いや、80年代だって忘れちゃいけない獣耳キャラはたくさんいますよ!
「ウルフボーイ伝説」とか「ひみつの犬神くん」とかさ!
あ、一つだけじゃなくなっちゃったよ。じゃ、ついでにもう一つ……。
そのニュースと称する宣伝記事の著者は、「そんな獣耳キャラには、やはり本当の動物にはない可愛らしさがある」などと主張しているのですが、獣耳が(デフォルメされた)「愛玩動物的かわいらしさ」という記号性を付与するということが、獣耳キャラなるものの存立基盤ということをあえて完全に無視していらっしゃるというべきか……。
すなわち、「本物の動物」になんらかの「かわいらしさ」があるから、獣耳キャラはかわいいと認識されるということです。そのニュースと称する宣伝記事の著者は、動物のかわいらしさを超えたかわいらしさがあると言いたいのかもしれませんが、それもまた「動物性」を淵源とするものであると上羽は思います。
「モフモフとした獣耳は触りたくなるし」「本能ダダ漏れな獣耳キャラだからこそ、その無邪気さや無防備さに萌える」
その毛やら本能やらは動物由来ではないのかと問いつめたい。


……批判した手前、きちんと引用元を明らかにしておきましょう。(著者の思うつぼかもしれませんが、公平を期して。)

「『おおかみこども〜』も大ヒット! “獣耳”人気が止まらない」電子ナビ編集部、「ダ・ヴィンチ電子ナビ」サイト所載


そんなこんなで
今日のBGM: "Deliver Us From Evil" Bullet For My Valentine
"Here we go! Here we go!"