つきもの、つけもの、つけけもの・第参夜

 さて、つきものについてまとめた(まとまったかどうかは甚だ覚束ないですが)ところで、次につけものです。つけものといっても、たくあん漬や野沢菜漬ではございません。身に着けるものです。


 アニミズム、トーテミズムなどと並び古代から続く精霊信仰的な思想に、呪物(フェティシュ)という考え方があります。呪力のある物品を身に着けることでその影響が生じるというもので、お守り(タリスマン)もこの一種です。
 そして、この呪物を身に付けるという行為は、感染呪術と密接な関連があるのではないかと思われるのです。
 感染呪術というのは、呪力を持つモノが、触れたモノに何らかの呪力を伝染させるといったような考え方でして、たとえば呪いの品に触れたり、身につけたりすると呪われる、といった「呪い」の伝染は代表的なものでしょう。また、たとえば、竜殺しの英雄ジークフリートは、竜の返り血を浴びて不死身になりましたが、これも血の呪力を接触により得たものといえましょう(血の呪力には、特別なものがあります。血判状やら誓いの杯やら…。)。この他、石に触れて呪力を得る(触れると病気が治るなど)とか、様々なパターンがあると思われます。
 現代においても感染呪術は生きています。小さなころ、何か汚いものに触れた友達に触られたら汚さが「うつる」、というような類の遊びをしませんでしたか? この場合は、接触によって、実際には存在しないであろう「ケガレ」という観念的な属性(呪力)が感染するわけです。


 さて、呪力を持つモノに触れることでその呪力を得ることができるとしたら…RPGに慣れ親しんだ現代のゲーマーでなくとも、呪力の強いアイテムをゲットして常日頃から装備したくなるのが人情ですよね。これが、身に着ける呪物のはじまりだと、上羽は考えています。
 先に述べました通り、こうした「つけもの」は、神仏の加護などの呪力を備えたお守りというのが代表的ですが(現代においても、よく「幸運」をもたらすとかいう触れこみで、石やら装身具やらを売ってますよね。買ったことないので真偽のほどはわかりませんが。)、腕輪(ミサンガ)だとか、戦場から生きて帰るよう祈りを込めた刺繍を施した服だとか、金運をもたらす蛇の皮だとか、その形状、呪力の根源、性質は多種多様のようです。


 というあたりでまただいぶ長くなってきましたので、続きはまたいずれ。