猫が新型インフルエンザ感染

吾輩は猫である。名前はジョージ。メインクーン種の血統正しい猫である、ということに表向きはなっているが、勿論血統書はない。
吾輩は先週、ひどい熱を出した。セ氏にして41度である。猫はもともと平熱が高いのであるが、これは流石にいささか高熱であると思う。
悪寒がして節ぶしが痛む中、吾輩は朦朧と考えた。これはひょっとして、いま流行りの豚インフルエンザとかいうものではあるまいか。だとすれば、早めに薬を投与してもらいたいものである。
飼い主は吾輩の様子を見てすぐに獣医へ連れていった。普段ぼおっとしているようで割と気が利くので助かる。
獣医のやつも吾輩の様子を見ておかしいと思ったのか、検体を取って州の保健所に送るとかいう。残念ながら抗インフルエンザ薬はもらえなかったが、栄養剤などを処方されて帰ってきた。これはまあやむを得まい。
数日で熱も下がり、まあ吾輩としては調子も回復してきたころ、件の獣医から電話があった。なんと豚インフルエンザのウイルスが確認されたのだという。人から猫への感染例は初めてということで、ニュースでも大きく取り上げられた、ようである。だが、吾輩が取材されたわけではないので特に感慨はない。むしろ、この問題にあまり深く突っ込んでもらいたくはない。もともと人獣共通感染症なのだし、猫が感染しても不思議はない、ということにしておいてもらいたい。それでいいではないか。
吾輩が実は猫人間であるなどと知ったら、わが愛すべき気の小さな飼い主は、驚いて心臓が止まってしまうだろうから。


…猫が新型インフルエンザ感染とのニュースを見て、ふと思ったことでした。